株式会社waja株式会社waja

キャプテンコージの世界一周旅日記  >  ベトナム人は嫌いですか?

キャプテンコージの世界一周旅日記

«    |   目次に戻る   |   アンコール »

ベトナム人は嫌いですか?

ベトナム ホーチミン(サイゴン)

地図ベトナム人はよく旅行者に嫌われる。理由は、ぼったくりだ。

ぼったくりの気合いやスケール(ふっかけ率など)で比べれば、やはり大御所のインドやエジプトには敵わないだろう。だがそれらの国でぼったくりは一つのビジネスのようなものであり、旅行者相手の仕事をしている人に限られたものだ。カレーやコーラ、コシャリでぼられることなどまずない。

だが、ベトナムは違う。ぼったくり精神が庶民レベルにまで浸透している。しかもそのふてぶてしさが憎たらしいというもっぱらの評判だった。

ホーチミンで泊まっていた宿の近くにうまいローカルな食堂があって、くみと俺は毎晩のように通った。

食堂で働く女の子の中で、片言の日本語を話す子がいた。くみと俺が行くと、必ずその子が注文を取りに来た。いつも明るく笑顔でフレンドリー。とても感じが良かった。その店ではお皿に並んだおかずを選ぶのだが、それぞれに対して値段が付いている。ベトナムではポピュラーなスタイルだ。皿あたりの大体の値段だってもう分かっている。

だが、その子はよくぼって来る。笑顔で吹っかける。高いと思う時は俺も内訳を聞く。一皿4000ドン(約25セント)前後で数えていき、最後の皿だけ1万ドンだったりする。あまり計画性もなくぼるのだ。

写真俺はそんなのお見通しだ。その子だって俺がお見通しのことくらい分かってるだろう。だが笑顔で押し切ってくる。そんな次の日は若干安めだったりもする。だがまた次の日は高めにぼって来たりする。いつもお互いお見通し。いつもお互い笑顔である。

その食堂の帰りに決まって寄るキオスク(売店)があり、俺達はそこでジュースやおかしを買って帰るのが日課だった。いつ行っても無愛想なおばちゃんがいた。そのおばちゃん、俺がジュースを買うと4000ドンだが、くみが買うと5000ドンになる。初めて買った時からずっとその値段だった。

誰にいくらで売ったかを覚えているんだろうか。それとも自分の中でカモレベルなるものを持っていて、毎回そのレベルに合わせて値段を決めているのだろうか。とにかくその値段は決して変わることはなかった。

地元の庶民が食べるものや日常品でさえ悪びれもせず平然とぼったくる。ベトナム人が嫌われる理由だ。だがそのあまりにも普通なところ、それをふてぶてしいとも言うのかもしれないが、少しかわいらしくさえ感じてしまう。

だがきっと俺がそう感じたのは、北からベトナムを下ってきたからかもしれない。俺はホーチミンに着くまでに、明るくて素直なベトナム人が好きになっていた。それに、そこまでぼったくりが激しいのはホーチミンだけで、街自体がおっとりしているハノイやその他の所ではそんなことはなかった。

写真大都市や観光地というのはその国の悪い面が集まるものだ。ベトナムと言えばまずはホーチミンかもしれないが、ホーチミンがイコールベトナムだと思ったら大間違いだ。ベトナムに行って「ベトナム人最悪」と言っている人の多くは、ホーチミンにしか滞在していない人なのではないだろうか。義理人情と侘び寂びの日本を、歌舞伎町や六本木しか知らない外国人が「ジャパンはクレイジーだぜ」と言っているのと同じようなものだ。

その国を、その国民を語るというのは、大きな責任を伴うものだと思う。「ベトナム人最悪」という言葉は、ベトナムの国民全体を否定していることに近い。その国の表面をさらっと通り過ぎるだけの外国人が、さらにはたった一つのある意味特別な街しか行ったことのない旅行者が言っていい台詞ではない。

俺も実際ベトナムに行くまではきっとベトナム人はひどいんだろうと思っていたし、「ベトナムはひどいらしいねー」と人に話したこともあった。だがそれは間違っていた。自分の目で見て、感じたことでもないのに、受け売りでそんなことを言っていたなんて恥ずかしい。ベトナムは、俺にそんなことを教えてくれた国だった。

(写真上は田舎の村 下はメコン川に面して並ぶ民家)

«    |   目次に戻る   |   アンコール »