株式会社waja株式会社waja

キャプテンコージの世界一周旅日記  >  罠

キャプテンコージの世界一周旅日記

ベトナム ニャチャン

地図フエの次に行ったニャチャンで、くみと俺は市場の近くにある、うまいと評判の焼肉屋に行こうとした。市場の周りは小さな商店が並び、地元の人で混雑していた。

写真突然1人のおばさんが話しかけてきた。「どこに行きたいの?」珍しく流暢な英語だった。こんなローカルな場所で流暢な英語というのは不自然だ。とても綺麗で色気のある、でもどこか擦れた感じのするおばさんだった。俺の嗅覚が普通じゃないものを感じ取った。

焼肉屋に行きたいと言うと、「こっちよ」と言ってすたすたと歩き始めた。俺達は慌てて付いて行く。おばさんは後ろを振り返らず足早に歩く。俺達が後を付いて来ているのを確信しているかのように。

写真「何かあるぞ」俺は低い声でくみに言った。だがおばさんは十字路で立ち止まり、「ここを右に曲がって1つ目の角を左に曲がるとあるわよ」と言うと、さっと立ち去ってしまった。「おかしいな。売人か何かだと思ったんだけどな・・・」

おばさんが去ってすぐに別のおばさんが現れた。「どこに行きたいの?」これまた流暢な英語だ。今度は庶民的なおばさんだった。「焼肉屋はその角を左でしょ?」「違うよ、付いて来な」またしても俺達の先を歩く。

なんだか妙だ。ベトナムの人の多くは、特に向こうから話しかけてくるような人は大抵フレンドリーな場合が多いが、この人達はニコリともしないし、どこか冷たい感じを受ける。俺達を見るときの目は何かを観察しているようだ。チームで俺達をカモにしようとしているのだろうか。だがそんな連携作戦はこれまでに経験はない。なんてことのない市場だったのだが、まるでそこにいる人達が皆作戦に関わっているような気がしてきた。

写真そしてまたしても途中で「ここをまっすぐ行って右だよ」と言い残しておばさんは風のように去って行った。どうやら考え過ぎだったのだろうか。言われた通りその道を歩いていると、今度はおじさんが話しかけてきた。「どこに行きたいんだい?」

3人連続となるとこれは本当に怪しい。だが俺達は完全に焼肉モードだ。引き返すわけにも行かない。それに、これが何かの罠だとしたら、これだけ巧妙に仕組まれた連携作戦の狙いを見てみたいという好奇心にも駆られた。俺達はまたおじさんに付いて行った。

そしてやはりまた途中で「あそこの角を左だよ」と言っておじさんは消えた。もう随分と市場からは離れてしまい、人通りも少ない。あの角を曲がったら、今度は一体何が待っているのだろうか。

俺達は恐る恐る言われた角を左に曲がった。するとそこには、、、

そこには焼肉屋があった。

えぇっと、、、ただの親切かいっ!