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キャプテンコージの世界一周旅日記

悲惨な一日 ~シリア編~

シリア ダマスカス

地図砂漠の旅を終えた俺は、シリアの首都ダマスカスに入った。ダマスカスは昔から、俺の憧れの地だった。映画「アラビアのロレンス」で、ロレンス率いるアラブ軍が、最後にオスマントルコ軍を破って、勝利を収めたのがこの街だった。“ダマスカス”という名前自体が格好いい。だが、そこで俺を待っていたのは、大都会ダマスカスの喧騒と排気ガス、そして砂漠のお土産であるバクテリア性の下痢だった。

一番怪しいのは、あのベドウィンの結婚式で飲まされた“聖なる水”だ。どう考えてもそこらで汲んできた普通の水だ。すっかり砂漠の民になりきったつもりでいたが、体はそうはいかなかったらしい。彼らはお腹の中にバクテリアよりもっと強い虫を飼っている。というわけで、宿の周りから遠く離れられない日々が続いた。だが俺が憧れていたダマスカスは、もうここにはない。俺は先に進まなければならない。

ある日、気合をいれてちょこちょこ買い付けておいた品々を日本へ発送する事にした。海外から荷物を日本に送るのは、想像以上に面倒くさい。言葉の問題などもあり、イギリス以外ではスムーズにいったためしがない。下手したら半日仕事だ。

写真宿の近くの水パイプ屋のおっさんと仲良くなったので(おっさんからしたら、ただのお得意さんかもしれないが)、いろいろと手伝ってもらう事にした。まずはダンボール探し。2人で何十軒もの電気屋や八百屋などを回り、1時間経ってようやく手頃のダンボールを一つ見つけた。次にガムテープ。これはすぐに見つかった。続いてパチパチビニール。これがなかなか見つからなかったので、近所の店から新聞紙を集めて代用とした。ようやくパッキングに必要な物がそろった。

だがダンボールに商品を詰めると微妙にスペースが足りない。何度どう詰めても、あと一息というところで入らない。そこで、あらかじめおっさんが包んでおいてくれた水パイプ(前の日の晩におっさんの店で水パイプを買い、次の朝、俺が店に行くまでにおっさんが包んでおいてくれたのだ)を全てまた広げ、小さな部品の配置なども変えてようやくダンボールに収める事が出来た。その間、何度か宿のトイレに駆け込む。

次は発送だが、割れ物は郵便局では危険なので、運送会社を探さないといけない。おっさんにいくつかの会社に電話で料金を聞いてもらうと、意外にもFedExが最も安かった。タクシーでFedExのオフィスへ行き、いざ発送というところで、料金が電話で聞いていたより倍以上も高い。文句を言っても「シリアでは全ての運送会社で同じ料金です」と抜かしやがる。そんな訳ないだろ。お腹も痛かったし、もう半日以上も店を閉めたままのおっさんにも申し訳なかったが、他の運送会社を当たる事にした。

次に向かった運送会社はFedExから5kmも離れていなかったのだが、タクシーは途中、人や車や馬車やリヤカーで混雑したスーク(アラブ圏のバザール)の中を通った為に、1時間近くもかかってしまった。

まず、そのオフィスでトイレを借りてから、発送手続きに入った。料金は電話で聞いていた通りで、FedExよりもタクシー代以上に安い。だがクレジットカードが使えないと言う。ドアに貼ってある種類のクレジットカードのシールは何なんだ?とにかくキャッシュオンリーと言われたので、現金を引き下ろす必要がある。ATMはそこから3kmほど離れた新市街の中心部にしかない。そこで俺とおっさんは新市街に戻る事になった。

スークを通って行ったのだが、おっさんは知り合いの店に寄っては俺を紹介する。気持ちは嬉しいのだが、俺はさっさと用を済ませたいし、腹も痛い。ようやく新市街に着き、宿のトイレに寄ってから現金を手に入れ、そこでおっさんと別れて、俺一人で運送会社に戻り、金を払ってから宿に帰った。

トータル約10時間!タクシー2回、歩いた距離は10km以上。トイレ5、6回。ダンボール1箱送るだけである。しかも水パイプ屋のおっさんがいなかったらどうなっていた事か。結局おっさんは、その日全く商売にならなかった。

かわいそうだから、おっさんの店でネックレスを買うことにした。水パイプを買った時から目を付けていたやつだ。なのに俺ったら、ここでも半値くらいまで値切ってしまった。俺よりもおっさんの方が悲惨な一日だったかもしれない。。。