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キャプテンコージの世界一周旅日記

ユーフラテス

シリア パルミラ~ユーフラテス川

地図すっかり砂漠に魅せられた俺とアキコは、宿の人にお勧めポイントなどを聞いてプランを立て、パルミラからシリア砂漠を突っ切ってユーフラテス川まで行くオリジナルツアーを組んだ。

そこには公共の交通機関なんてもちろん存在しないので、タクシーを一日チャーターする必要がある。バイクで砂漠を約400kmの道を走るなんて到底無理なので、スズキのおっさんに普通のタクシーを紹介してもらった。このスズキのおっさん、俺が探すと必ず10分程で見つかる。なんとも便利なおっさんだ。

そして黒のクラシック(ただ古いだけ?)メルセデスで現れたドライバーは、ハードボイルドを絵に描いたような兄ちゃんだった。名前はアブド。黒のシャツに、黒のスラックスに黒の革靴。髪はリーゼント風オールバックパーマ。顔は正統派の超ハンサム。見た瞬間、俺とアキコは「カッコイー!」と叫んでしまった。

帰り道がきついから助っ人を呼んで来ると言って連れて来たのは、アブドの父だった。そんな一面がまた可愛い。街で水とスイカを調達して、俺達4人の愉快なツアーはスタートした。

写真まず訪れたのはパルミラの北約100kmにあるカサール・ヒール・シャルキという遺跡。発掘作業を途中で止めてしまったのか、中途半端な発掘状態のまま放っぽらかしにしてある。だがそこにはなんと、数え切れない程の人骨が土壁から出ていたり、地面に落ちていたりしたのだ!

火葬場以外では生の人骨を見るなんて生まれて初めてだった。「ここにもある!スゲースゲー」と騒ぐ俺達を、アブドはタバコを吸いながらニヒルな笑みを浮かべて見ている。そして奴は言った。「レッツゴー」

さらに100km程北上すると、ドデカイ城跡が現れた。アル・ラサフォーという遺跡だ。城壁は軽く5km四方はあるのではないだろうか。その中のメインと思われる宮殿のような建物は、非常に保存状態が良く、柱を打った跡など部屋の内部の構造までが分かる。はるか昔の人々の生活が目に浮かぶような気分になる。

これが果てしなく広がる砂漠の中にひっそりと残っているのだ。幻想的でさえある。遺跡から出ると、アブドパパがスイカを切って用意してくれていた。喉がカラカラだったので格別に旨かった。そして奴は言った。「レッツゴー」

灼熱の砂漠の中を黒いクラシックメルセデスはひたすら走る。とういかアブドは飛ばしまくる。窓は常に全開だが、髪型は決して崩れていない。そしてさすがハードボイルド、片時もタバコを離さない。「シャイをくれ」と言うと、助手席のパパがポットから熱々のシャイを注いでアブドに渡す。そのグラスを親指と人差し指で挟み、手首を返して抱え込むようにして飲む。全ての動作がキマッている。。。

さらに数10km北上し、ベドウィンのテントを訪れた。これで俺はもう3日連続のベドウィン三昧だ。ここの家族がまたものすっごい素朴、親切、フレンドリー(ベドウィン三要素)で、突然訪れた俺達をベドウィン料理とシャイでもてなしてくれた。そこには4日前に生まれたばかりだという眉毛のつながった赤ちゃんがいて、その赤ちゃんをアキコが抱っこしたりと盛り上がっていたのだが、突然アブドが言った。「レッツゴー」

アブドはやけに何事も急かす。車も異常に飛ばすし、そんなに早く帰りたいのだろうか。まぁ、距離も距離だし仕方ないか。。。

そしてまた100km程走り、ついにユーフラテス川に突き当たった。人類最初の文明を生み出した川だ。とても川幅が広く、穏やかな流れだ。今は文明が逆戻りしちゃったんじゃないの?と思いたくなるシリアだが、そんなシリアに似合っている川だなと感じた。

そこから川に沿って西に向かう。目指すはユーフラテスにつながるアサド湖に浮かぶ古城。カラート・ジャーバルだ。湖に突き出た出島のような所に建つ城で、まるで湖に浮かぶように見えるらしい。

写真城が見えて来た頃、1台のバイクとすれ違った。アブドは車を止め、何やらそのバイクに乗った兄ちゃんに叫んでいる。するとバイクはUターンし、俺達の前を走り始めた。城に着くと、バイクの兄ちゃんは城門を開け、俺達を中に入れてくれた。どうやら彼は門番で、既に開場時間が過ぎたので帰る途中だったらしい。

俺達は階段を登って城壁の上に出た。すると、、、まさにユーフラテス川に夕陽が沈むところだった!廃墟となった城、澄んだ湖、川面に沈む夕陽。夕陽コレクターである俺のベスト夕陽の栄光を与えた。

門から出ると、アブド達はカフェでシャイを飲んでいた。すっごい綺麗だったよと興奮して伝えると、アブドはニヤッと笑い、「そうだろ?」と答えた。

そう、奴はこの夕陽を見せる為にここまで急いで来たのだ。なんて心憎い演出だろう。こいつにはマジでやられた。アブドのおかげで、最高のツアーを楽しむ事ができた。ありがとう!

旅情報

交通
シリアでのバスはもう身を任せるしかありません。英語を話す人もいなければ、英語の看板もありません。言われるがままの料金を払うしかないし、その料金もかなり適当で、たまにボラれもしますが、それでも最大で20s£(約40¢)程でしょう。
ツアー
スズキのおっさん(Khaled Hmedan)tel:911645。 ハードボイルド アブド(Abd Al Razzak Al Bakhit)tel:(031)914496。どちらも料金はバスなどに比べるとかなり高い(要交渉)ですが、サービスは最高です。英語が話せるところも助かります。