株式会社waja株式会社waja

キャプテンコージの世界一周旅日記  >  砂漠の民、シリア砂漠にて【後編】

キャプテンコージの世界一周旅日記

砂漠の民、シリア砂漠にて【後編】

シリア バルミラ

地図会場に着いてみると、老若男女500人くらいのベドウィンが集まっていた。中央では200人くらいが輪になって踊っている。想像以上に盛大なパーティだ。周りには何もない。まさに砂漠のど真ん中。異様な光景だ。そしてこれまた想像以上の大フィーバーが俺達を待っていた。

まずパーティの仕切り役みたいなおっさん(実はただの世話好きかも)が寄ってきて、笑顔で何かしゃべりまくっている。よく分からないが、とにかく歓迎されているようだった。すると、「ウェルカム」と「ノープロブレム」を連発しながら、俺達の腕を引っ張ってダンスの輪に連れて行く。両隣の人と手を繋ぎ、周りの人のステップを真似してとりあえず踊ってみた。

しばらく踊った後に輪から外れると、また仕切りのおっさんが現れ、正面のテントに俺達を連れて行き、そこに座っていた人をどけて俺達を座らせた。そこは最も目立つVIP席のような所で、一気に会場中の注目を集めてしまった。

踊りの音楽はスーツを着たおっさんの生歌だったのだが、今度はその歌っているおっさんの所に連れて行かされた。するとおっさんは歌いながら俺達と握手をし、何やら語り口調で歌い始めた。「なんとかかんとかヤパーニーがどうのこうの~」と歌っている。会場が大きく盛り上がった。後から聞くところによると、「日本から特別ゲストがお祝いに来てくれたぞ皆の衆~」と歌っていたらしい。

写真その後新郎に紹介され、お祝いの挨拶をし、聖なる水とやらを飲まされて一連の接待は終了し、ようやく俺達は開放された。

しかし開放された後がまた大変だった。アキコは男達の、俺は子供達のアイドルになってしまったのだ。最初は近寄って来てただキャッキャキャッキャと騒ぎながら眺めているだけだったのだが、そのうち誰かがこっそり俺の体を触ってきたりした。すると他の子供達も触りたくなる。しまいにはもみくちゃにされてしまった。抱き着いてなかなか離れない子もいた。

そのうちほんの少しだけ英語が話せる年長の男の子が話しかけてきて、お互い名前を言って握手をした。その時からそいつは俺の特別な存在になった(とそいつは感じたようだった)。たまに意味もなく俺の名前を呼び、返事をすると喜ぶ。自分が一番俺と仲良くなったという優越感が、彼を特別な存在にしたのだろう。いつの間にか俺のボディガードをやるようになった。

俺に群がる子供達を払い除けては、俺が歩く道を空けてくれる。「よくやった」と言うとまたさらにご機嫌になる。他の子供達はボディガードの目を盗んでなんとか俺に近寄ろうとする。たまに喧嘩も起こる。

写真俺が子供達から逃れて会場内を歩いていると、通り過ぎる所に座っている人のほとんどが席を空けてここに座れと言う。座るとまず握手をして、笑顔で「ようこそ」と言われる。「ありがとう」と言った後はアラビア語と英語も全く噛み合わない会話がニコニコしながら行われ、話が途切れても目を合わせてはニコニコ、何か言ってはニコニコ、ニコニコニコニコ、ニコニコニコニコ。

そのうちまた子供達に発見されてもみくちゃにされる。するとボディガードが現れて俺を守る。その繰り返しだ。気が付くと男達の攻撃から逃れてきたアキコは、今度は女の子達に囲まれている。そこでもアキコの奪い合いが行われているようだ。このフィーバーは俺達が帰るまでずっと続いた。

終始そのパーティでは新婦を見かけることがなかった。聞くと新婦が登場するのは次の日の夜だと言う。2日もこんなパーティをするのかと言ったら、なんと3日間続けられるらしい。

砂漠の真ん中で数百人のベドウィンが集まって踊っている。そしてそこには何故か俺がいて、特別ゲストのような待遇を受ける。なんとも不思議な空間だ。思い返してもリアリティがなく、まるで夢の中の出来事だったようにも感じられる。

そしてここにいくつかの謎がある。砂漠の中、地図も住所も電話も持たず、家族単位で常に移動しながら生活している彼らが、一体どこからどうやって集まって来たのだろう。どうやって連絡を取ったんだろう。どうやってあの場所を説明したのだろう。。。