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キャプテンコージの世界一周旅日記

マックスファミリーから追い出される!

エクアドル キト

地図あるときからそれは大きく変わった。マックスとベロニカの俺に対する態度だ。いつも能天気なマックスは事あるごとに「コージー、ムイ・ビエーン!」を連発していたのだが、急にシビアな顔で滞納しているアパート代のことを言い出したり、残っているスペイン語のレッスンを早く消化するように催促し出した。まるで俺を早く追い出したいかのようだ。いつも優しく笑顔で接してくれていたベロニカは、ニコリともしてくれない。

何かがおかしい。明らかにおかしい。思い当たるふしは、、、ある。

ジャングルから帰った日の夜、アントネラとジェラルドと三人で、俺のデジカメのコトパクシやジャングルの写真を見ながら話をしていた。俺達三人はとても仲が良く、よくリビングで遅くまで飲んだり、アントネラの親友のソフィアや彼氏のダニエルとも一緒に遊んだりもしていた。マックスファミリーの中でも最も英語のうまいアントネラと話す時はいつも英語だった為、コミュニケーションも取りやすかった。

写真デジカメの写真を1枚1枚見ているうちに、最後の1枚を通り過ぎて初めの写真に戻ってしまった。それは俺がずっと消さずに残しておいた、俺の彼女の写真だった。慌てて俺が隠すと、アントネラが「隠すことないじゃない!見せてよー」とカメラを奪おうとした。そう言われるとますます見せたくなくなった。

「嫌だ、絶対見せない」
「どうしてよ!」
「どうしても」
「どうしても見たい!」
「もうすぐキトに遊びに来るからいいじゃん」
「あら、そうなの?楽しみー!」

実際彼女はもうすぐやって来るし、その時はこのアパートに泊めるつもりだ。もちろんマックスファミリーにも紹介したいと思っていた。

だが俺はなんだか恥ずかしくなってしまい、「でもお前の家族なんかには会わせないよーだ!」と言ってしまった。いや、そんなニュアンスで言いたかった。だが「お前の家族なんか」のつもりで俺が口にしたのは、”your fuckin’ family”という言葉だった。これがまずかった。

その瞬間、アントネラの表情が凍った。俺の言葉を聞いて笑おうとしていたジェラルドは、アントネラの様子に気付いて口を開いたまま固まった。「しまった!」と思った時はもう遅かった。

「ごめんごめん、ジョークだよ!」
「・・・・」

アントネラは何も言わずにそのままリビングを出て行ってしまった。。。

「まずかったかな」
「まずかったみたいだな」
「お前のFワードが移ったじゃんか」
「俺のせいにするなよ」
「どうしよう・・・」
「ま、明日になったら忘れてるだろ」

と俺とジェラルドはあまり大事には捉えてなかったのだが、そうはいかなかったようだった。

写真何日か経ってもマックスとベロニカの俺に対する態度は変わらず冷たかった。アントネラとはあれ以来会っていない。だが次女のモンキーと三女のドメニカは以前と何も変わらない。

ジェラルドと俺はいろいろと想像を巡らせた。絆が強くオープンな家族だから、きっとアントネラは両親に言ったに違いない。歳の近いモンキーにも話しただろう。家族会議が開かれたのかもしれない。そこでコージを追い出そうということに決まったのだろう。モンキーはクールな子だから大して気にしていないだけだろう。幼いドメニカと犬のニーナだけ何も知らないのだろう。。。

マックスファミリーの皆は俺のことをまるで家族の一員のように扱ってくれていたのに、一気に遠い存在になってしまった。それどころか、明らかに嫌われている。このまま本当に追い出されてしまうかもしれない。誤解を解きたいが、きっかけがつかめない。実際あの一言が本当に原因なのか確信も持てない。ただ単にマックスとベロニカの機嫌が悪いだけなのかもしれない。でもそれにしては態度が冷たすぎる。やはりあの一言か。。。思い悩む日々が続いた。

ある日の夜遅く、マックスが俺達のフロアに降りてきて、リビングで話をした。途中、マックスから切り出して来た。「コージ、俺の家族が気に入らないのなら、このアパートから出て行ってくれ」やっぱり!「マックス、それは大きな誤解なんだよ。俺の話を聞いてくれ」

俺はアントネラを怒らせてしまったいきさつ、それが全く悪意のないジョークだった事、マックスファミリーと出会えて幸せだった事、最近冷たい態度を取られて辛かった事、アントネラにもう一度きちんと謝りたい事などを真剣に話した。初めはあまり取り合ってもらえなかったのだが、必死の説得の甲斐あって、ようやくマックスは理解してくれたようだった。

これで一つハードルを越えた。次はアントネラだ。アントネラは話せる子なのだが、激しい感情の持ち主でもある。落ち着いて話す事ができれば分かってくれるだろうが、気分次第では全く俺の話を聞いてくれない可能性もある。マックスよりもずっと手強いだろうというのがジェラルドと俺の予想だった。いろいろと作戦を練ったが、結局俺が思っている事をストレートに話す事にした。

そして次の日、アントネラに俺達のフロアに来てもらった。彼女の態度はぎこちないのは確かだが、あからさまに冷たいというわけでもない。表情が読めない。とにかく俺はきちんと謝ってから俺の気持ちを伝えた。話を聞き終わったアントネラはしばらく黙っていたが、急に顔を緩めてこう言った。

「コージ、あなたが謝ることなんて何もないの。コージのことは良く知ってる。本気であんな事、言うわけがないことだって分かってる。それなのに感情的になってしまった私が悪いの。ごめんね」
「何言ってるんだよ!アントネラこそ謝ることなんて何もないよ。俺が悪かったんだから」
「そんなことない。コージは全然悪くなんかない」
「オーケー、じゃあ仲直りしてくれる?」
「もちろん!」

涙が出そうなくらいに嬉しかった。その後二人して、「あー、すっきりしたー!」と言い合って笑った。アントネラもあれ以来ずっと気になっていたらしかった。

「そうだ、ジェラルドが俺達のこと心配してるから、仲直りの報告に行こう!」奴は気を利かせて部屋に引っ込んでいたのだ。部屋に入ると、ジェラルドはウォークマンをイヤホンで聞きながらベッドに横になっていた。「おい!俺達を見ろよ!」俺はアントネラと肩を組み合って立ったまま言った。「もうこの通り大丈夫さ。心配かけたな」ジェラルドは眠たそうに目をこすりながら起き上がって言った。「けっ、誰もお前らのことなんて心配してねーよ!」三人で思い切り笑った。

アントネラが帰った後、俺がジェラルドに話の展開を説明しようとしたら、奴は「聞いてたよ。やったな、コージ!」と言って俺の肩を叩いた。眠っていたフリまでしやがって!

「いやー、これでほっとしたよ。それにしても、マジで心配かけて悪かったな」
「だから心配なんてしてないって。テレビドラマを生で見ているようで楽しかったぜ」

全く、憎めない奴め。。。

そしてその次の朝学校に行くと、いつものベロニカスマイルとマックスの「ムイ・ビエーン!」が戻っていた。これにて、一件落着!!

(写真上はアントネラと俺のスペイン語の先生のベニシオ、下は三女のドメ ニカ)