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キャプテンコージの世界一周旅日記

森の声【後編】

エクアドル キト郊外

地図しばらくして雨が止み、マックスが夜の森を散歩しようと言い出した。夜の森と言ってもただ暗いだけだろうとは思いながらも、他にやることもないので出かけることにした。マックスは蝋燭を片手に行こうとしていたが、ジェラルドのライトを持っていくことにした。蝋燭なんかではとても四人の足元を照らせる訳がない。

牧場から30分程森の奥に入り、ぬかるみに足を取られながら歩いて、少し辺りが開けた丘のような所に着いた。そこで俺達が見たものは、、、何千何万という蛍のような発行性の虫が闇の中を舞い、俺達の顔のすぐ横を飛び交い、丘いっぱいに生えている一つ一つの木々にいくつもの小さな光を点けているというものだった。そしてあちこちから様々な種類の動物、鳥、爬虫類、昆虫の泣き声が無数に、絶え間なく聞こえてくる。

その光と声は、うっすら見える木々の影や遠くの山々の尾根、月の光を受けた低い雲とその雲の合間から見える星、それら全てと不思議なまでに調和していた。俺達はライトを消し、話すのを止め、そのままずっとその場に立ち尽くしていた。

写真次の日の朝は牛の乳絞りから始まった。俺達からは代表して巨乳好きのジェラルドがトライした。さすがに随分興奮気味だった。そしてその絞りたてのミルクを飲んでみた。暖かく、濃厚な味だった。マックスはそんな俺達を見て、また「ムイ・ビエーン!」とご機嫌だ。

その日は森の奥の川まで行く予定だったのだが、また雨が降って来たので止むのを待つことにした。すると突然アンナの調子がおかしくなり、下痢と嘔吐を繰り返した。かなり苦しそうだ。マックスは「外国人は皆エクアドルに来て2週間するとバクテリアにやられてこうなるんだよ、ノー・プロブレマ!」と言っている。来る途中に食いまくった草か朝の生乳が原因だと思うんだが。。。 とにかくマックスはまたそこら辺から取って来た薬草でお茶を作り、アンナに飲ませていた。

アンナは回復しそうもなかったし、雨も止みそうになかったが、マックスとジェラルドと俺は強行で森に入ることにした。セーターの上にゴミ袋をかぶって出かけようとするマックスに、ジェラルドが予備の雨具を貸した。マックスは「この時期この辺は毎日雨が降るんだぞ」と何故か得意気に話している。「だったらこんなの企画するなよ、というか雨具くらい準備して来いよ」とまたジェラルドと俺で文句を言いながら出発した。

写真森の散策は1時間程歩いて小川に当たり、さらに1時間程その川を上流に向かって上るというものだった。雨のせいで土もぬかるみ、川の水も多かったのだが、それがまた散策をエキサイティングにしてくれた。俺達はびちょびちょどろどろになって牧場に帰った。

アンナの調子はまだ良くなっておらず、とても2時間もバス通りまで歩けそうになかったので、牧場の前を通ったトラックをヒッチした。そのトラックの荷台には木材が積まれてあり、俺達はその木材の上に乗り込み、木の上にかぶせてあったシートを頭からかぶった。もちろん木の上には捕まる所もなく、デコボコ道でトラックが揺れる度に振り落とされそうになった。道の脇の木の枝や葉がバサバサバサバサー!と俺達の体に当たる。

途中トラックが段差にはまって全員でトラックを押して動かした後、マックスが木の葉が当たって危ないから歩いて帰ろうと言い出した。おいおい、それはアンナに決めさせろよ。本当に突っ込み所の多い奴だ。

しばらく歩くと、今度は4WDの車が通りかかったのでまた乗せてもらうことにした。マックスとアンナが後部座席に乗り、ジェラルドと俺は車の後ろにしがみついて乗った。今度はロデオ状態だった。俺達は振り落とされないよう必死に車にしがみついていた。

夜になってようやくキトに帰り着いた。なんだかんだ文句を言いながらも、何気に盛り沢山の遠足だった。いつのまにかすっかり元気になったアンナは「マックスがくれた薬草がすごく効いたみたい,すごいすごい!」とはしゃいでいる。 そしてその時、またアンナの鼻が鳴った。「んがっ!」