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キャプテンコージの世界一周旅日記

森の声【前編】

エクアドル キト郊外

地図キトからバスで2時間の森の中にあるHacienda Atenasという牧場へ一泊二日の小旅行に出かけた。一応エコ・トラッカーズの校長、マックスが企画した課外授業を兼ねた遠足である。課外授業と言っても森を歩きながらマックスとおしゃべりをするだけなのだが。参加者はマックス、ジェラルド、アンナ、俺の四人だ。

ジェラルドは28歳のビルマ(ミャンマー)系オーストラリア人。パースでずっとテコンドーの師範をしていた188センチの大男。キトでの俺の相棒である。アンナは超天然、良く言えばとても素直で純粋な22歳のドイツ人。イタリアとインドでそれぞれ1年働きながら旅をして来て、今回はエクアドルで仕事を探して長期滞在を狙っているという放浪好きの女の子だ。二人共エコ・トラッカーズの生徒だ。

写真バスを降りて森の奥へと続く道に入った。アンナは早速、自然をトイレ代わりに使っていた。キトからわずか2時間とは言え、周りは低い山々が連なる広大な森だ。景色は素晴らしいし、道の両脇には珍しい植物や昆虫、かわいらしい鳥が飛び回っている。それらを見つけてはマックスは立ち止まり、「ほら、見ろ見ろ!」「写真撮れ!」と大騒ぎしている。

カルロスもそうだが、こっちの男は何事もリアクションが大き過ぎる。確かに綺麗なんだが、花や鳥を見つけては「ケ・ボニータ!(なんて綺麗なんだ!)」と感嘆文の連続だ。そんな男他では見たことがない。

突然ジェラルドと俺の後ろを歩いていたアンナがジェラルドの肩を凄い力でパンチして追い抜いていった。あ然としている俺達をよそに高笑いしながら歩いている。「あっはっはっは、んがっ!」「ん?」「今の音何だ?」「アンナ、鼻鳴らした?」今度は俺達が大笑いした。アンナは興奮するとたまに鼻が鳴るのだ。

途中、薬草や食用の草や花を見つけてはマックスはそれを説明して俺達に食べさせようとする。本当かよとは思いながらもとりあえず俺達は食いまくる。川縁に生えていた草がかいわれ大根に似た味でうまかったので、夕食のサラダにしようということでたくさん刈っていった。

写真2時間程歩いて牧場に着いた。ここにエコ・トラッカーズの別荘があり、牧場を管理している家族が別荘も管理しているのだ。もうとっくに昼を過ぎていたので俺達は腹ペコだった。食料はマックスがたっぷり持って来ているぞと言っていた。だが管理人の家族が見当たらず、鍵がないため別荘の中に入れない。マックスが持って来ているのはスパゲティとライスで、外では料理もできない。

俺達はアンナが予備に持って来ていたパンとアボガドと来る途中刈った草でサンドイッチを作ってベランダで食べた。 マックスは「ムイ・ビエーン!(ベリー・グッド)」と言いながらニコニコ食べている。ジェラルドと俺は「ムイビエンじゃねえよ、アンナがパン持ってなかったらどうすんだよ」とブツブツ文句を言いながら食べていた。

食べ終わるとすぐに激しい雨が降ってきた。マックスはどこかに消えてしまい、アンナもメディテーションを始めて違う世界に行ってしまった。仕方なく俺達はノートを切ってトランプを作り、エクアドルで最もポピュラーなゲーム、クワレンタをして時間を潰した。

すっかり日も暮れた頃、ようやくマックスと一緒に管理人が現れ、別荘の中に入って飯にありつくことができた。腹ペコの俺達がマックスの作ったスパゲティにがっついていると、それを見たマックスはまたニコニコして「うまいだろ、うまいだろ、ムイ・ビエーン!」と言っている。

うまいわけがない。トマトソースの缶詰(こっちのトマトソースはひどい)にツナ缶と塩を混ぜただけのソースだ。ベジタリアンのアンナはツナが食べられないため、ソースなしの素スパゲティだ。でも不思議なことにアンナはそれを美味しそうに食べていた。