株式会社waja株式会社waja

キャプテンコージの世界一周旅日記  >  旅の神様【前編】

キャプテンコージの世界一周旅日記

旅の神様【前編】

チェコ プラハ

地図ベルリンからチェコの首都プラハ行きの夜行バスに乗った。ハンブルク発のバスで、車内にはもう乗客がいたが、空いていたので二席を一人で使うことができた。なかなかいい体勢を見つけられずに眠ることができなかったのだが、通路側に座り、前の座席のひじ掛けに右足を乗せ、ようやく落ち着いた。

眠りにつくかつかないかという時に、斜め前の席で横になって寝ていた女の子が両足を俺の右足(その子からすれば通路を挟んだ隣の席のひじ掛けのはず)に乗せてきた。すっかり眠っている様子だったので、無理に足を引き抜くわけにもいかず、しばらくそのまま俺の足はその子の足置きになっていた。

バスがプラハに着いたのは早朝6時前だった。外はめちゃめちゃ寒い。凍えながら一服していると、同じバスだったメキシコ人の女の子二人組(一人は足置き女)が、どこかいい宿を知っているかと尋ねてきたので、俺が泊まろうと思っていたホステルに一緒に行くことにした。ロックアウトなしのホステルだから早朝でもチェックインできるだろうと思っていたのだが、フルだったので俺たちはウェイティングリストに登録し、荷物だけ置いて暖かいカフェで時間を潰すことにした。

写真彼女達、ロレンヌとカルメンは幼なじみの親友で、一緒にメキシコを出てしばらくアメリカでこっそりと働き、金を貯めてから二人でヨーロッパを旅していると言う。会計も二人一緒だし、タバコも1本を二人で吸う。二人は共に23歳で、かわいいし性格も明るい。こんな二人と出会えて幸先のいいスタートに、なんとなくプラハが楽しくなる予感がした。

二軒カフェをはしごしてから昼前にホステルに戻り、二人と夕食に一緒に行く約束をして俺はドミトリーに、二人はダブルにチェックインした。ベルリンからのバスであまり眠れなかったせいか、数時間だけ休もうと思ってベッドに入ったら爆睡してしまい、目が覚めたらもう夕方だった。ロレンヌとカルメンの部屋もどこだか分からないし、ホステルの中でも見当たらないので、仕方なく一人で夕食に出かけた。

8時過ぎに部屋に戻ると、もうドミのキッチンでは飲み会が始まっていた。しかもかなり盛り上がっていた。チリ人の男とポーランド人の女の子二人のテンションがとにかく高く、輪の中心になっている。その他オーストラリア人の男数人、イタリア人の女の子、フランス人の美人姉妹といい感じのメンツだった。

この姉妹はフランス人特有のやわらか雰囲気のヒンギス顔(ヒンギスはスイス人だが)で、モロ俺の好みだ。しかも姉のエミリーは優しくて気の利く性格で、遅れて加わってまだ乗り切れない俺を何かと気遣ってくれた。そのうちまた何人か合流して、ホステルの上の階にあるバーで飲みなおすことになった。

バーでさらに盛り上がり、東欧名物のアブシンスという酒で景気を付けてから、同じビルの地下にあるクラブに繰り出した。このROXYというクラブ、旧市街の古いビルの地下とは思えない大きな、かつしゃれた箱で、音も雰囲気もよく、凄く盛り上がった。結局朝の4時頃までそこで遊んでいた。

次の日は昼からプラハ市内を観光した。プラハは俺の好きな小説、「プラハの春」の舞台の街で、プラハ城やヴルダヴァ川にかかるカレル橋など、訪れたいと思っていた名所がたくさんある。実際プラハ城やカレル橋も素晴らしかったが、その他にも旧市街広場に建つ時計塔や旧市庁舎、聖母マリア教会、小地区の街並みなども本当に美しい。間違いなく、世界で最も美しい街の一つだろう。

夕方部屋に帰ると、俺のベッドにロレンヌとカルメンからのメモがあった。「ずっと探したのに。どこにいるの?」なんて嬉しいんだろう!隣のベッドの奴の冷やかしもまた気持ちいい。早速メモに書いてあった二人の部屋を訪れ、上のバーに飲みに行った。

チェコはヨーロッパの中ではとりわけ物価が安い。西欧を主に旅してきた人には特に安く感じられる。なのでつい気が大きくなって飲み過ぎてしまう。とにかく飲んだ。途中でアメリカ人の男二人が加わり、盛り上がってまたアブシンスを飲むことになった。

写真アブシンスはアルコール度70%の緑色の酒で、理由はよくわからないが覚醒効果もあるらしい。砂糖をスプーンに盛り、それをアブシンスに浸してから火を付ける。炎は妖しい青い光を放ち、スプーンの上の液体は沸騰して砂糖が溶ける。炎が消えたところでグラスのアブシンスの中にスプーンごと入れてかき回し、一気に口の中にアブシンスを流し込み、好みに応じて頭を振ったり回したりする。俺なんかはこれ一回でできあがり。酒の強い欧米人などは調子に乗って何杯も飲むからいつのまにかぶっ飛んでいたりもする。さっきまで渋く飲んでいた隣のスコットランド人の兄ちゃんが、いつの間にかテーブルの上に乗って「そーれそーれ!」と叫びながら踊っていた。

その夜はロレンヌとカルメンに、彼女達の部屋で一緒に寝ようと招かれた。ダブルが空いてなかった為に3ベッドルームに泊まっていて、ベッドが一つ空いていると言うのだ。

写真「こーんな若くて綺麗な女性の部屋に俺なんかが泊まってもいいんですかぁ?」
「ハッハッハ、特別に許してあげよう!」

まったくかわいい奴らだ。部屋には布団が2セットしかなかったので、自分の布団を俺にくれてロレンヌは寝袋で寝た。

次の日は朝からロレカル、フランス姉妹、ポーランドの二人と別れ、一気に寂しい気分になってしまった。もうあらかた見たい所も回ってしまったので、旧市街の土産物屋などを見ながらぶらぶらしていると、変な着ぐるみを着てプラカードを持った兄ちゃんに声をかけられた。同じドミのオーストラリア人、ニックだった。

「そんな格好で何やってんだよ!」
「俺今日からここで働いてるんだ」

彼はアイリッシュパブの呼び込みのバイトを始めたらしい。2日前に一緒に行ったクラブで地元の子と出会い、すっかり惚れてしまったニックは当分プラハに残ることにして、早速もう仕事まで見つけてきたのだ。なんという行動力!

ニックが働くパブでビールを飲んでいると、バーテンが「あちらのお方がお客様に一杯奢りたいということなんですが」と言って来た。おー、まるでドラマのような出会いじゃないかぁ!カウンターの方を見ると、髪の毛の薄いおっさんが笑顔で片手を上げている。がくっ。まあただ酒にありつけたからいいやと思ってカウンターに移った。デンマーク人のそのおっさんは日本の社会問題だとか現代日本人の考え方だとかやたらと小難しいことを聞いてくる。そしてこれはデンマーク人の癖なのか、「あっ、あっ、あっ」と変な相槌を打つ。俺はもうひたすら飲むしかなかった。

旅情報

宿
ベルリンのユース、The Circus Hostelはミッテ地区の中心にあり、ロケーション最高。雰囲気のいいカフェやバーもホステル内にあり、毎日何かしらのイベントなどもやっています。友達作りにも最適です。プラハの飲み宿はHostel Travellers。3階のバーで飲んで、地下のクラブで踊ってください。
交通
ヨーロッパで主にメジャーな都市をハイペース(3日以内の滞在)で回る人には、EUROLINES(ヨーロッパ全土をカバーするバス会社)のパスもお得です。パスがカバーしていない都市でも、窓口で頼めば乗せてくれたりもします。僕はロッテルダムを基点にドイツ、チェコ、デンマークへと移動しましたが、パスがカバーしていないロッテルダム-アムステルダム間は無料で乗せてもらいました。