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キャプテンコージの世界一周旅日記

パリの眠れぬ夜

フランス パリ

地図今年の夏のヨーロッパは異常な熱波に見舞われた。特にパリはひどく、連日40度以上の日が続いていた。泊まっていたユースは冷房がなく、とても部屋にいることなんてできない。夜になっても暑い。ロビーも暑い。とにかく暑い。というわけで、そのユースでは夜になると道端にテーブルと椅子を出してビールを飲んでいた。毎晩2時3時まで。でもこれが楽しかった。ここでユースの飲み仲間を紹介しよう。

  1. ニコラス:
    チリの大学院生。ドイツに短期留学している途中だが、授業をサボって旅に出てしまったらしい。こいつが夜のパーティの仕掛人。冷蔵庫は常にニコラスが買ってきたビールでいっぱいだった。
  2. ジャード:
    20歳のオーストラリア人。男から見ても惚れ惚れしてしまうほどの超美形。いつもサーフパンツを思いっきり腰履きしてケツの割れ目が見えているのだが、体もすごく綺麗だった。2日程こいつとドミで2人きりだったのだが、自分を抑えるのに苦労した。(これはウソ)
  3. アンドレス:
    女好きのイタリア人。女の子が通る度に声を掛けていた。その反面、日本の精神文化にとても興味を持っていると言っていた。結構旅先でそういう外人に出くわす。まだまだ日本というのは彼らにとって神秘的な国なようだ。
  4. クリス:
    遊びはもちろん好きだけど、根がとってもマジメなオーストリア人。語るとなると、とことん語る。熱いハートを持った奴。

ある晩、旅先でよくありがちな、それぞれのお国自慢大会になった。

まずラグビーの話から始まった。ジャードがオーストラリアにある4種類のラグビー(正式にはラグビーではないが似ているスポーツ)について説明していた。アメリカンフットボールはあんなに防具を付けてやるなんて情けないと言う。オージーボールは何も付けずにやるぞって。確かにそうだ。

イタリアはやっぱりサッカー自慢だ。アンドレスはイタリアが世界最強だと言い切っていた。去年のワールドカップの話になり、多くのイタリア人がそうするように韓国戦は負けじゃないと言っていた。あのエクアドル人の副審(オフサイドのミスジャッジをした審判)のせいだと。今年イタリアでは何かのイベントであの副審を呼んだそうだ。ゲストとして。でも本当はもちろん復讐をするために。「それを気付かずにあいつは喜んで来やがった。アホだぜ」とアンドレスは言う。結局予定通り(?)暴動が起き、警察がその副審を空港まで護送してそのまま飛行機に乗って帰ったらしい。

でもアンドレスは、その時だけでなく、普段もすぐサポーター同士などで暴動が起きること、その他何かに付けてすぐ暴動や騒ぎが起きることがイタリアの恥だと言っていた。ナンパ野郎のくせになかなか良識のある奴だ。

だがそこへオーストリア人のクリスが突っ込んだ。「それは歴史的な背景が原因にある」と。大袈裟な言い方だったので俺が笑うと、「これはジョークなんかじゃない」と怒られた。要するに世界大戦時のイタリアの裏切り行為が今の国民性に現れているというのだ。だからドイツとオーストリアが負けたんだとまで言い出した。何だか重いテーマになってきたが、とりあえず「日本もね」と口を挟んでみた。それは軽く流された。

「オーストリアにも大きな問題がある。人種差別だ」とクリスは続ける。クリスは黒人だ。オーストリアでは警官が黒人を殺しても単なる事故で済まされてしまうと言う。今年もすでに2件もそのような事件があったとか。とにかくクリスは怒ってい た。

次に食べ物の話になった。皆イタリア料理を絶賛していた。アンドレスは鼻高々だ。「そうさ、イタリア料理は世界一さ。ワインもね。」これにはニコラスが食いついた。チリもおいしいワインで有名だ。この争いはつまらないので聞かなかった。ジャードがこっそり「日本食の方がうまいだろ」と俺に言って来た。なかなか分かっている奴だ。

皆どんな話でも自分の国のこととなると熱くなる。それは、母国への愛がそうさせるのだろう。果たして俺はどうか。確かに俺は日本を愛しているし、旅をしていると特にそう思う。だが、お国自慢大会の時にはあまりはりきって日本の自慢はしない。何故だろう。日本にだって誇れるものはたくさんあるというのに。ムキになって自分の国について語っている奴等を見て、ちょっと羨ましく思った。俺もそうありたいと。

ちなみに、ニコラスはカプセルホテルが日本人の家だと思っていた。いくら何でもそれはないだろ。昔ネパールで現地の奴が日本人の女は皆おしんみたいな女だと思っていることにも驚かされたが。そいつの夢は日本人の女=おしんと結婚することだった。

さらに俺は、オーストリアにはクラシック音楽しかないと思っていた。クリスはレゲエのクラブのよく行っていると言う。そりゃそうか、日本で演歌だけ聞いているわけじゃないもんな。

旅情報

宿
俺が泊まっていたファンキーなユースは“Auberge de jeunesse jules Ferry”というところ。マレ地区の外れ、レパブリック広場から徒歩5分。周りにはスーパー、レストラン、カフェ、ネットカフェが多く便利です。ドミ1泊19.5ユーロ
交通
なんとフランス-スイス間はバスがないらしい。列車はパリからジュネーブまでTGVで約4時間。ユース割引はIDが必要ないので、迷わず25歳以下と言いましょう。