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キャプテンコージの世界一周旅日記

西海岸を走る【後編】

地図アメリカ カリフォルニア - メキシコ ティワナ

< 3rd day >
早朝ヨセミテを出発し、ロサンゼルスへと向かった。とにかく何もない一本道をひた走る。休まずに走り続ける。何とかして早くロスに着きたい。その日は7月4日、アメリカの独立記念日だったのだ。

夕方にはロスに到着し、地元の大学に留学している友人を誘ってダウンタウンに繰り出した。きっとどこに行ってもお祭り状態のらんちき騒ぎだろう思っていたのだが、拍子抜けするほど街は静かだった。入ったバーもがらがらだった。記念日らしいことと言えば、小さな花火の音が何発か、どこからか聞こえただけだった。

写真< 4th day >
この日は友人にロス近郊の有名スポットを案内してもらった。まずハリウッドを散策し、続いてビバリーヒルズで“スターマップ”(ハリウッドスターの家の地図)を見ながら豪邸巡りをした。トム・クルーズの家だというので何枚か写真を撮ったが、後から聞くとトムの家はその隣ということだった。午後はサンタモニカの街を歩き、ロングビーチで海を眺めた。

夕方からリトルトーキョー近くにある“新撰組”という居酒屋に飲みに行った。彼女はそこに留学生仲間を集めてくれ、ちょっとした飲み会となった。学生達は愉快で、日本食は美味しかった。店内は日本人客でいっぱいで、独立記念日のダウンタウンよりもずっと盛り上がった。

< 5th day >
サンティアゴへ来た目的はただ一つ、ホテル・コロナドだ。大好きな映画、ビリー・ワイルダー監督の“お熱いのがお好き”の舞台となったホテルだ。行ってみると、想像以上に豪華なホテルで、俺が宿泊客のふりをするのに無理があるように感じた。(もちろん俺は他の安モーテルに泊まっていた)

しばらくホテルの中を探検した後、ジャック・レモンとマリリン・モンローが戯れていたビーチへと出た。そこは海水浴客でいっぱいだった。とりあえず空いているスペースに持ってきた布を敷き、Tシャツを脱いで座る。俺の周りではカップルがビーチベッドを並べて寝そべり、家族連れがお弁当を食べ、若いグループがサッカーをして遊んでいる。

写真あっという間に空しくなり、ホテルのテラスに場所を移した。パラソルの付いたテーブルでビールを飲む。ここでも一人で座っている人間なんて俺しかいない。テラスが混み始め、ビールやサンドイッチを持って空いているテーブルを探すグループも出てきた。俺はいたたまれなくなって、急いでビールを飲み干し、その場を立ち去った。

ここで俺はある持論を持つに至る。

「リゾート地に一人で行くべからず」

< 6th day >
海岸線の道を南に向かって走っていた。メキシコに入り、一晩だけ国境の街、ティワナに泊まって戻って来よう。街を歩き、本場のタコスを食い、バーでテキーラを飲む。それだけでいい。少しだけ、メキシコの雰囲気を味わいたい。

絶対にレンタカーでメキシコに入ってはいけないという話は聞いていた。ティワナにはメキシコ中からアメリカへの密入国を企てている奴等や、観光客を狙う悪党が集まる。治安は最悪でいつ襲われるか分からない。特にレンタカーは襲われやすく、さらに保険は米国内に限られているため、何が起きても補償の対象外となるというのである。俺は国境の手前、アメリカ側の駐車場に車を停めて、歩いてメキシコに入るつもりだった。

サンディエゴを過ぎてしばらくすると、10車線近くある幅広いハイウェイが渋滞し始めた。国境渋滞だ。“The End of The United States”なんていう看板も出てきたし、遠く前方には高速道路の料金所のようなイミグレーションも見えてきた。

いつの間にかハイウェイの車線がそのまま各イミグレーション毎の列になっている。調子よく左側の追い越し車線を走っていた俺は、そのまま左端の列に並んだ状態となり、駐車場があると思われる右側の車線に移るタイミングを失ってしまっていた。

やはり前方右手に駐車場が見えてきた。だがびっしり詰まった列で車線変更は困難だ。1つ車線を変える。頑張ってもう1つ。また1つ。ああ、早く右端まで行かないとー!

結局、あれよあれよという間に駐車場の入り口を通り越し、イミグレーションまで来てしまった。これはまずい。だが、もうどうすることもできない。そのままあっけなく出国手続と入国手続が済み、俺はメキシコに入ってしまった。

これほど国境を挟んで世界が変わるものだろうか。目に入るもの、道路や建物、子供達の服装、人々の表情、とにかく全てが経済大国アメリカとは全く異なっている。そしてティワナは、噂通りただならぬ空気を感じる街だった。確かにアメリカからの観光客向けに、綺麗な土産物店やレストランなどはある。だがそれは綺麗に取り繕っているだけという印象を受けた。

そうやって観光客が集まるエリアから一歩外れれば、そこはまさに別世界となる。先入観のせいか、そこら辺をうろついている奴等は皆悪党に見えてしまう。喉が渇いたから何か飲み物でも買おうと思っても、周りの連中が気になって車を停めることすらできない。どこに行ってもそうだ。これでは、ここに一泊することなんてとてもできない。。。

数時間後、カラカラの喉のまま、メキシコの地を一度も踏むことなく、ただ車を運転だけして出国ゲートへの列にならんでいた。

< 7th day >
サンディエゴの空港でレンタカーを返し、フロリダのタンパへと飛んだ。タンパの空港に置いてあった車でセントピーターズバーグの自分の家へと帰った。たった7日間の旅だったが、随分と久しぶりに帰ってきたような気分だった。