株式会社waja株式会社waja

キャプテンコージの世界一周旅日記  >  物々交換作戦

キャプテンコージの世界一周旅日記

物々交換作戦

ネパール カトマンズ

地図カトマンズで俺は大きなバックパックが欲しくなった。旅先で出会った人達からのプレゼントや、途中で買ったものなどもあり、もう小さなデイパック1つでは荷物が入りきらなくなっていた。

カトマンズは買い物天国だ。ヒマラヤへのトレッキングの拠点であるため、アウトドア用品の店は数え切れないほどある。ニットや民芸品、アクセサリー、その他服や小物などもかわいいデザインのものが多く、作りも良い。そしてどれも物価が安いだけに信じられないほど格安で売られている。

俺は街中いたるところにあるアウトドア用品店に入っては、とりあえず気に入ったバッグの値段を尋ね、値段交渉をして歩いた。丸1日そうして偵察し、狙いを決めた。ノース・フェイスの中型のバックパックだ。初めの言い値も交渉後の値段も最も安かったチベット系のお店に次の日にまた戻った。ある作戦を準備して。。。

「おじさん、このバッグ、1000ルピーだったよね」
「ああ」
「俺のと交換でもいい?」
「どれ、見せてみろ」

チベット人は未だに物々交換の習慣が残っていると聞いていた。しかも彼等は“Made in Japan”に弱いと。

「これなんだけど」
「それは小さいから後500ルピーくらいもらわないとダメだよ」
「これは日本で80ドルくらいするんだよ」
「なんだって?」

しめた。おじさんの目付きが変わった。俺はここぞとばかりに強気に攻めた。

「だからその寝袋も付けてもらって丁度いいくらいなんじゃない?」

そう、実はノース・フェイスのゴアテックス素材の寝袋も昨日発見してから狙っていたのだ。

「な、何言ってんだよ、これは800ルピーもするものだぞ」
「じゃあ、俺もおまけをつけるよ」

もうおじさんはすっかり追加の500ルピーのことなんて忘れているようだ。このまま一気にたたみかけよう。俺はおもむろにこの旅の間デイパックの底でずっと眠っていた、空気を入れて膨らませるタイプの携帯用枕を取り出した。

「これ、なんだか分かる?」
「ん????」
(その場で膨らませて)
「枕だよ!」
「おおっ」

おじさんがひるんだ。だがちょっとまだ悩んでいる様子だった。さらにこちらもずっと使っていなかった、携帯用の水筒を取り出して、同じように膨らませてみせた。

「じゃあこれも付けるよ。ここに水を入れられるんだ」
「おおっ!」
(続けてぽんぽんと後2つ取り出して)
「しかも3つも!!」
「おおおっっ!!!」

決まった。俺の勝ちだった。おじさんは始めて見るであろうグッズの数々に気圧されていた。さすが東急ハンズ!さすがテレビショッピング作戦!!

そうして俺は、サークルのダンスパーティでのビンゴゲームで当てたデイパックと、彼女に餞別として買ってもらった携帯枕と水筒のセットで、ノース・フェイスのバックパックと寝袋を手に入れたのであった。

でもなんだかすっかり俺だけ得してしまったようで、おじさんに申し訳なく思えてきた。俺はやはりこれも全く使っていなかった、父親から餞別としてもらった牛皮のウエストポーチをおじさんにあげようと、次の日に再度おじさんの店に行った。

「おじさんはヒンドゥー教?」
「いや、仏教だけど」
「じゃあこれあげるよ」

もしヒンドゥーだったら神聖なる牛の皮というのがまずいかもしれないと思ったから聞いたのだった。おじさんは早速それを腰に巻き、嬉しそうな顔をしていた。