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キャプテンコージの世界一周旅日記

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変身

日本

地図生まれて初めての一人旅を終え、日本に帰ってきた。成田から家へと向かう電車の窓から見る、ごくありふれた日本の町並みは、どこか不思議なもののように見えた。家が近づくにつれて見慣れた光景が広がるのだが、まるでもう何年も帰ってこなかった場所のような気がする。

東西線の浦安駅からバスに乗り、自分の家に着いた。たかだか2ヶ月いなかっただけだ。もちろん何も変わっていない。だが、何かが違うように思える。

愛犬のコロが飛び出して来て、俺に向かって牙を剥いて吠えた。近寄って頭をなでると、俺のことを思い出したのか今度は尻尾を激しく振った。家の中から祖母が出てきた。しばらく俺のことを眺めた後、「こ、こうじかい?」と俺に尋ねた。両親が出てきた。母親は俺を見て涙を流し、父親は物珍しそうに俺の写真を何枚も撮っていた。

その次の日、彼女と銀座で待ち合わせをした。地下鉄の出口から数寄屋橋の交差点に出た。びっしりと立ち並ぶビル、少しでも目立とうと競い合っている派手な看板達、信号待ちをしているたくさんの車の列、スクランブル交差点を早足で渡る大勢の人間、、、俺は全てに押しつぶされてしまいそうな気になり、怖くなってきた。そのまま彼女と地下鉄に乗って浦安に帰った。

駅前の喫茶店に入り、ようやく彼女と落ち着いて話すことができた。話している途中で突然彼女が泣き出した。俺が無事に帰ってきて嬉しいというような泣き方ではない。どうしたのかと聞くと、俺が俺じゃないような気がすると言う。髪の毛や髭は伸び、体重も7キロ程痩せ、肌も黒くなった。だが、そんな変化ではなく、目や話し方まで変わったと彼女は言った。まるで違う人間と話しているようだと。

確かに、旅に出る前の俺とは違うかもしれない。この時何が変わったのか、うまく言葉で表現することはできない。だが、確実に俺の中の価値観や世界観に、とてつもなく大きなものが加わった。今振り返ってみても、やはりこの旅が俺の人生の中でも大きなターニングポイントだったと思う。これまでの人生を前半と後半に分けるなら、完全にここで分かれるだろう。

ここに2枚の写真がある。両方共家の前で撮ったもので、1枚が「行ってきます」、もう1枚が「ただいま」の写真だ。たったの2ヶ月でこれだけ顔が変わってしまった。そしてこの2枚目の写真の顔と、9年経った今の顔はそれほど変わってはいない。

写真

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