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キャプテンコージの世界一周旅日記

ゴールデン・シティ【前編】

インド デリー

地図ようやくメインバザールに辿り着き、宿を見つけて入った。水でも買おうと外の売店に行くと、隣でマルボロを買っている東洋人がいたので、その値段を聞いてみた。今考えると、俺が見ず知らずの人に英語で話しかけた最初の経験だったかもしれない。

「マルボロっていくらなの?」
「50ルピーだよ」
「そっか、ありがとう」
「ひょっとして、インドに来たばかり?」
「うん」
「じゃあ俺が色々教えてやるよ、上で飲もうぜ!」

それがパクとの出会いだった。パクは韓国の大学生で、同い年だった俺達はすぐに意気投合し、宿の屋上のレストランでコーラを飲みながら何時間も話をした。生まれて初めてできた、外国人の友達だった。

次の日からも俺はパクと一緒に行動した。その時既に2ヶ月間インドを旅していたパクは、俺の旅の先生でもあった。買い物の時には値切り方を、食堂では注文の仕方を、駅に行っては列車の切符の買い方を、その他インドで気をつけることなどを何かにつけて俺に教えてくれた。

俺とパクはそれまで泊まっていた宿よりも安い宿に移り、1つの部屋をシェアすることにした。毎晩寝ながらいろいろな話をした。旅、人生、友情、恋愛、話は尽きなかった。

この旅はパクにとっても初めての1人旅だった。その目的は、自分を変えること。何をするにもなかなか決められず、すぐに人の意見に流されてしまう優柔不断な性格が嫌いだったと言う。だがここでは自分で行き先を決め、自分のやりたいことをやり、インド人に何を誘われてもきっぱり断れるようになった。この旅で随分と自信を付けたようだった。

写真ある時パクがニコニコして「俺の宝物を見たいか?」と言ってきた。「見せたいんだろ?」と俺が言うと、嬉しそうに巨大なバックパックの底から厳重に新聞紙で包まれたものを2つ出してきた。綺麗な彫刻を施した石の灰皿だった。1つは韓国にいる親友へのお土産で、もう1つは自分の部屋に置くんだと得意気に話していた。

パクとつるんでいるうちに、韓国人の女の子3人と友達になり、いつの間にか俺はすっかり韓国人グループの一員になっていた。女の子3人は全員が金(キム)という名前だった。

金さん達と一緒にいるときは、話が盛り上がってくると自然と韓国語での会話になる。英語の得意な1人の金さんが俺に通訳しようとするのだが、すぐにパクが彼女を制して俺への通訳を買って出る。パクの英語はめちゃめちゃなのだが、俺には不思議なくらいにパクの言うことがよく理解できた。金さん達はいつもよくその英語で通じるものだと驚いていた。

ある日5人でご飯を食べているとき、皆それぞれ次にどこに行くのかという話になった。パクは数日中にはカルカッタに行き、既に航空券を買ってある飛行機でソウルに帰る予定だった。元々一緒に旅をしていた金さん2人は南を目指し、もう1人の金さんは北を目指す。俺は東のバラナシを目指した後にネパールに上がる計画だった。

その時、誰かがインドの西、パキスタンとの国境近くにあるジャイサイメールという街の話をした。そこからラクダに乗って砂漠を何日か回るおもしろいツアーがあるらしいと。その話を聞いて、皆そこへ行きたくなってしまった。いっそのこと5人で行こうと金さんが言い出した。だがパクはもうすぐ韓国に帰らなければならない。日程的に無理だったのだが、それでもパクは随分と迷っている様子だった。

レストランを出るとき、パクがトイレに行って来るというので俺達は外で待っていた。だがなかなかパクは出てこない。10分、20分と経っても出てこない。何かあったのではないかと心配になった頃、神妙な顔をしてパクが出てきた。

俺達のところに来たパクが、「こんなものがあるから悩むんだ」と手のひらを開けると、そこには細かくちぎられた紙屑があった。「何それ?」と聞くと、「ソウル行きの航空券だぁー!」と言ってそれを宙に放り投げた。

「うぉー!!皆で砂漠に行こうぜー!!!」

そうして俺達5人はデリーから砂漠を目指して一緒に旅をすることになった。