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キャプテンコージの世界一周旅日記

ラブ&ピース

ジャマイカ ネグリル

地図南米を離れることが寂しくて寂しくてたまらなかった俺だったが、マイアミでジャマイカ行きの飛行機に乗り換えた瞬間から、もう心はジャマイカだった。照りつける太陽に真っ青な海、どこかでレゲエが流れ、ドレッドヘアのラスタマン達がガンジャを吸っている。そんな誰もがイメージするようなコテコテのジャマイカを、やはり俺も想像していた。飛行機の窓から美しいジャマイカの海岸線が見えてきた。

写真モンテゴ・ベイ空港に降り立った俺は、そのままネグリル行きのバスに乗った。バスには俺の他に数組の白人ファミリーが乗っていたが、皆途中の立派なホテルで降りていった。最後の1組を降ろした直後、突然運転手はバスを止めた。俺の方を振り返り、ニヤリと笑ったかと思うと、いきなり天井を外し、裏から新聞紙の包みを取り出した。中には巨大な房が20個くらい茎に付いたままの大麻が何本も入っていた。運転手はそれを俺の目の前に広げ、「さあ、どれがいい!」と誇らしげに言った。全く、とんでもない歓迎の仕方だ。。。

写真ネグリルでは全てがゆるりとしていた。まるでレゲエのリズムで時が流れているようだ。実際耳に入る音は全てレゲエだ。レストラン、バー、ショップ、走っている車やバス、どこでもレゲエをかけていた。人の動きもレゲエのリズムだ。海岸沿いの通りには、ドレッドヘアの男達が目をとろーんとさせてふわりふわりと歩いている。

ラスタマン達はすれ違う時、「ヤーマン」と言って右手の拳を突き出してくる。俺も「ヤーマン」と言って拳をゴツンと合わせる。その時、「リスペクト!」と言ったりもする。初めはただすれ違うだけでリスペクトも何もないだろとは思ったが、これがジャマイカ式の挨拶。慣れてくると気持ちのいいものだった。

“ヤーマン”とは、“ハロー”の意味でも“Yes”でも“OK”でも使われる。だからジャマイカでは“ヤーマン”という言葉があらゆるところで飛び交っている。例えば誰かに道を尋ねる時はこんな感じになる。

写真俺「ヤーマン」
ジ「ヤーマン」
俺「スーパーはこの先?」
ジ「ヤーマン」
俺「ありがとう」
ジ「ヤーマン」

これらのヤーマンはそれぞれトーンが微妙に違うのだが、その説明は難しい。とにかく俺はこの“ヤーマン”が気に入った。誰かと話すときは無理してでも“ヤーマン”を会話の節々に入れた。気分はジャマイカンだった。

俺はジャマイカに来るまでにドレッドをかけようと思っていた。そのためにずっと髪の毛を伸ばしていたのだが、結局やらずに来てしまった。ここへ来て周りのラスタマン達を見ると少し羨ましかったのだが、ある時走っている車の窓から女の子が顔を出し、俺に向かって“I love your hair!”と叫んだ。やっぱり日本人は黒髪のストレートに限る。

ネグリルの人達はよっぽど暇なのか、人好きなのか、とにかくよく話しかけてくる。すれ違うときのヤーマンだけでなく、遠くにいても手招きをして呼ぶ。決して自分から寄っては来ない。必ず呼ぶ。一度呼ばれたときに「お前が来い」と俺も呼び返したことがあったが、結局根負けして俺が寄って行った。行くとまずはヤーマンとリスペクト。その後は特に何を話すでもなく、ただ座っていたりする。やっぱりよほど暇なようだ。

写真俺が泊まっていたのは、ネグリルの街の北側に11キロにも渡って続く白砂のビーチ、ロング・ベイにある小さなバンガローだった。目の前にはカリビアン・ブルーの海がどーんと広がっている。隣はリッチなリゾートホテルで、ビーチに面したオープンカフェからは四六時中レゲエが流れてくる。ボーイや客達がその音に合わせて歌ったり踊ったりしていた。俺のバンガローはぼろかったが、そんなことはどうでもよかった。

写真俺はネグリルでのほとんどの時間を、バンガローの前のビーチで過ごした。泳いだり、昼寝したり、散歩をしている人と話したり、子供と遊んだり。隣のホテルのカフェから流れてくるレゲエを聞きながら、マイヤーズを片手にカリブ海に沈む夕日を眺める。至福の時だった。

ある日乗った乗り合いタクシーで、ラジオからボブ・マーレーが流れてきた。運転手が俺に「ボブ・マーレーは知ってるか」と聞いてきた。「あたりまえだ」と答えた。「レデンプション・ソングは知ってるか」「ヤーマン、大好きな曲だ」「じゃあ歌ってみろ」それは困った。歌えるほど知っているわけじゃない。「歌えない」と言うと、他の乗客からブーイングが起きた。隣のお姉ちゃんが「じゃあ何か日本の歌を歌ってよ」と言い出した。すると皆が聞きたい聞きたいと騒ぎ出した。

ヤーマン、これは歌うしかない。俺は“上を向いて歩こう”をレゲエっぽく歌ってみた。この曲は何度かレゲエバージョンにカバーされている。すると、ノッて来る来る、タクシーの中は大盛り上がりになった。

九ちゃんの後は、ラジオからボブ・マーレーの“One Love”が続いた。ボブの声に合わせて皆で歌う。最高にラブ&ピースなひと時だった。

    One love ~♪
    One heart ~♪
    Let’s get together and feel all right...

(写真中はネグリルのレコード屋 下左はバンガローの前の海 下右は俺のところによく遊びに来た女の子)