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キャプテンコージの世界一周旅日記

ゲリラの山を越えて【後編】

ベネズエラ − コロンビア

地図山奥で検問があった。コロンビアでは警察の検問と同じように、ゲリラの検問も存在するという。俺は1人びびりまくっていたのだが、コロンビア人の乗客達は「いつものことね」と言った感じで普通にボディチェックを受けていた。結局俺にはどっちの検問だったのか分からなかった。普通に他の乗客に聞けばよかったのかもしれないが、なんとなくそういうことは口に出してはいけないような気がして聞けなかったのだ。

後から聞いたところによると、大きなバス会社はゲリラにより多くの金を払っているため、バスの料金が高いほど襲われる確率が低いとか。。。普通バスの料金はそのまま速さと快適さに比例するものだが、この国では安全性にも関わってくるのか。

そんな状況とはうって変わって、車窓の風景はとてものどかで美しいものだった。緑豊かなアンデスの山間部をくねくねと走る。コロンビアは美人で有名な国でもあるが、途中から俺の隣に座ってきた女性もとても綺麗だった。俺はいつしかゲリラの不安を忘れ、景色と会話を楽しんでいた。

ボゴタまでも何時間かかるのか分からなかった。もし今日中に着くなら少しでも早い時間に着いて欲しい。着かないのなら、とことんゆっくり、バスターミナルで夜を越せるくらいの時間に、できれば朝になってから着いて欲しい。

そんな俺の淡い期待を裏切って、ボゴタのバスターミナルに着いたのは夜中の12時だった。俺はタクシーに乗り、どこか市内の安宿に行ってくれと頼んだ。

写真走り出して間もなく、タクシーのエンジンがぷすぷすと弱々しい音を出したと思ったら、突然止まってしまった。「ガス欠かな?おかしいな・・・」運転手は何度かエンジンをかけようとするがかからない。これは、、、これはかなりまずい状況だ。

世界で最も危険な国の首都、ボゴタ。誘拐、殺人、強盗何でも御座れの“キング・オブ・クライム”の街だ。真夜中過ぎ。街灯も少ない道路。歩いている人どころか走っている車もない。まさかこの運転手が?いや、この人は悪い人じゃなさそうだ。だがタクシーごと襲われるかもしれない。道の真ん中で動かなくなった旅行者を乗せたタクシー、それは絵に描いたようなカモちゃんだ。

運転手がエンジンキーを回す度に、俺は魂を込めて「かかれ!」と祈っていた。旅の神様よ、お願いだから俺の願いを聞いてくれ。エンジンよ、かかってくれぇぇぇっ!!!

しばらくしてエンジンは息を吹き返した。その後もよろよろと走り続け、なんとか市内の中心部まで辿り着くことができた。冷や汗をびっしょりかいていた俺の心配をよそに、タクシーの運転手は名所を通る度に俺にいろいろと説明してくれる。ここはなんとか美術館で、あれはなんちゃらビルで、、。気持ちは嬉しいが、そんなことより俺を早く宿まで連れて行ってくれ。

写真ようやく一軒の宿に着いた。安全そうな宿だったのだが、値段を聞いてみると約7ドル、ちょっと高い。他をあたることにした。次に行った宿は、ドアの外側に頑丈な鉄柵があり、鍵がかかっていた。ドアを叩いてみる。周りにいた数人のホームレス達が寄って来た。「兄ちゃん、一緒にタバコでも吸うかい?」

そこで宿のドアが開いた。中から顔を出したおじさんは、すぐにまたドアを閉めようとした。

「ちょ、ちょっと待って!泊まりたいんだけど!」おじさんはドアを閉じる手を止め、じっと俺達(俺とホームレス達)を見ている。何故かホームレス達も行儀よく俺と並んで黙っておじさんの方を見ている。これじゃあ誰だって怪しむ。「あ、もちろん俺1人だよ」「日本人か?」「うん」「入りな」俺はタクシーの運ちゃんに金を払い、ホームレス達にお別れを言って、ようやく宿にありつくことができた。

カラカスを出発してから実に33時間が経っていた。

(写真上はモンセラーテの丘から見たボゴタの街並み 下は宿の前で1日中同じ格好だった靴磨きのおじさんと犬)