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キャプテンコージの世界一周旅日記

ゲリラの山を越えて【前編】

ベネズエラ − コロンビア

地図俺はこの約半年間、エクアドルからから反時計回りのコースで南米を旅してきた。それは、コロンビアを最後に持ってきたかったから。この国だけは特別だった。強盗などの一般犯罪なら、もう今更どこに行ってもそれほど恐れはしない(カラカスでは泣きそうだったが)。だがこの国はやることが違う。山にはゲリラがいて、街には誘拐がある。

万が一死んでしまうのなら、もしくは旅が終わりになってしまうほどの事件に巻き込まれるのなら、南米を一通り見てからにしたかった。いきなりコロンビアに行って、全てをおしまいにしたくなかった。それがコロンビアを最後に持ってきた理由だった。

そんな覚悟を持って旅のコースだけは決めたものの、もちろんいざ行くとなったら覚悟なんてあるわけがない。「南米を一通り見た今、もう思い残すことはない」なんて思えるはずもない。なんとか無事にこの旅を終わりたい。

そしてついに、最も恐れていた区間の移動をすることになった。ベネズエラのカラカスから、コロンビアの首都ボゴタへのバス移動だ。両国の国境付近にはゲリラの支配地域がある。できれば “比較的安全”とガイドブックに書いてあった海側のメジャーな道を通り、メジャーな国境を越えたかったのだが、俺が乗ったバスの行き先はサンアントニオという、地図にも載っていない街だった。「コロンビアに安く早く行きたい」と行ったら渡されたチケットだった。その街の場所だけでなく、本当にそこに国境があるのか、さらにコロンビア側の街の名前すら定かではなかった。

写真そして一体何時間かかるのかも分からない。何せバス会社のお姉ちゃんも知らなかったのだから、俺が分かるわけがない。国境というのは最も神経を使う場所だ。別に俺がいつもやましいものを持っているとかではなく、何かトラブルがあったら面倒だし、イミグレーションにも腐った役人は多いし、国境付近には悪い奴らがうようよしているのだ。だからなるべく夜に国境を越えることはしたくない。バスがカラカスを出たのは夕方の4時だった。お願いだから夜中にだけは国境に着かないでくれっ!

夜になった。バスは走り続けている。どこかのバスターミナルに着く度に、徐々に乗客は減っていく。だが国境行きのバスなのだから、俺が降りるのは終点だろう。俺は降りるタイミングについては特に心配せず、ただ朝まで走り続けてくれと祈りながら眠りに付いた。

ふと目を覚ますと、乗客は俺ともう1人のおばさんだけになっていた。そしてしばらくするとバスは住宅地の中で停まった。時刻は午前4時。そこはターミナルどころか、バス停っぽくもない。だが運転手はまるで終点に着いたかのように、帰り支度をしている。1人残っていたおばさんも荷物をまとめている。俺は運転手に尋ねた。

写真「ここはどこ?国境に行くんじゃないの?」
「何言ってんだ!ここは俺の家だぞ。もう国境はとっくに通り過ぎたよ!」
「・・・」

寝過ごしてしまった。大失敗だ。。。なんと最後の客だと思っていたおばさんは、運転手の奥さんだったのだ!

国境まで連れて行ってくれと頼み込むと、「しょーがねーなぁ。じゃあちょっと待ってな」と言われ、運転手は家に入って行った。随分長い間待たされた後、俺一人貸切のバスを出してくれた。国境に着いたのは早朝だった。寝過ごしたおかげで夜中の国境は避けることができた。バスの中で時間を潰せたわけだ。何気にラッキーだ。俺は無事国境を越え、数時間後にはボゴタ行きのバスに乗ることができた。

さて、次の心配事は、ゲリラだ。もしガイドブックが薦めている海側の道ではなく、山側の道をボゴタに向かっているとしたら、この先にはゲリラが支配しているエリアがある。と、まだ俺は自分の中で可能性を探していたのだろうか。どう見ても周りは山だらけだからもう疑いの余地はない。後は運を天に任せるだけだ。。。