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キャプテンコージの世界一周旅日記

ラパヌイ【前編】

チリ イースター島

地図南太平洋、南米大陸とタヒチのちょうど真ん中に、ポツリと浮かぶ小さな島がある。その島は未だ多くの謎に包まれ、いつどこからどんな民族が渡ってきたのかも分かっていない。島で発見された板に彫られた、原住民が使っていたと考えられている文字も未だ解読されていない。そして、誰が何のために作り、どうやって運んだのかという定説すらない、人間の形をした巨大な石像が、島のあちこちに転がっている。。。そう、モアイの島、イースター島、現地語では“ラパヌイ”だ。

飛行機がイースター島に着いたのは夜の8時を過ぎていた。俺は空港に詰め掛けていた宿の客引き達の中から選んだ、一人の男の車に乗った。空港から3分も走ると街らしきところに入り、さらに3分も走るともう辺りには建物もなくなった。そしてあっという間に海沿いのキャンプ場に着いた。ここが俺の宿だ。その日は雲が多く星も見えなかった。風と波の音だけが聞こえていた。

写真次の朝起きてみると空は晴れ渡っていた。キャンプ場はまさに海の目の前だった。俺は海岸沿いの道を歩いてみた。風が気持ちいい。しばらく歩くと、あっけないほどあっさりとモアイが見つかった。普通に、本当にフツーに道端に立っていた。

その後もモアイは何てことのない道の脇に、食堂の横に、草地の奥に、いたるところ立っていた。それはいかにも“遺跡”ではなく、ごく自然に、当たり前のようにそこに立ち、どれもぼーっと宙を眺めているのだ。

今度は島唯一の村である、ハンガロア村の中心部に行ってみた。端から端まで歩いても10分くらいの小さな村だった。メルカド(市場)があったので覗いてみた。土産物を売る店と、食料を売る店が並んでいた。

メルカド内の食堂で郷土料理を食べていると、一人のおじいさんに声をかけられた。かなり酔っ払っている様子で、何を言っているのがよく分からなかったのだが、家に招待したいと言っているようだったので付いていった。

写真そのおじいさんはラパヌイの歴史や謎についていろいろな話をしてくれた。話の内容としては非常に興味深かったのだが、やはり相当酔っているようでロレツが回っておらず、ほとんど何を喋っているか分からなかった。庭に生っていたバナナを貰って俺はおじいさんの家を後にした。

地図をもらおうと観光案内所に寄ったとき、突然雨が降り出した。俺は雨宿りをしながら道端に座ってパチカを振り始めた。調子がよく、いい感じのリズムが続いた。すると通りがかりのお姉ちゃんが俺のパチカに合わせて踊り始めた。子供達も近寄ってきた。

雨が止んだので今度はラパヌイ博物館を目指して歩き出した。村を大分外れたところで、ボロボロのトタン屋根の建物があった。“ディスコ”と書かれた看板が掛かっていた。営業しているのかどうかは分からなかった。

なかなか博物館に辿り着かない。地図には道も目印も書いてないが、方向は合っているはずだ。誰かに尋ねたくてもすれ違う人もいない。結局思っていた以上に歩いた末に見つけた博物館は、閉まっている様子だった。中にいた人に聞いてみると、やはり閉まっているとのことだった。観光案内所で貰ったパンフレットでは定休日は今日じゃないのに。。。俺は宿に帰った。

写真次の日は、同じ宿にいたスイス人のダニエルとレンタカーをして島を回ることにした。借りたのはスズキの“サムライ”だ。まずはハンガロア村から東に車を走らせる。すぐに海へと出た。そこから海岸線に沿って北上する。所々にモアイが立っていたり、倒れていたりする。

最初に車を停めたのはトンガ・リキというところだった。道路のすぐ脇には案内人のように1体のモアイが立ち、奥には10体以上のモアイが全員同じ方角をぼーっと眺めている。俺も横に立って同じ方向を眺めてみた。だが彼らが何を見つめているのかは分からなかった。

写真トンガ・リキから内陸に走ると、山の中腹に広がるモアイの石切場、ラノ・ララクに着いた。昔はここで全てのモアイが製造され、島中に運ばれて行ったらしい。だがそれはある時突然止めてしまったようで、完成しているモアイの他にも、顔だけのものや岩から切り離しただけのものなど、作りかけのモアイが無数に転がっていた。しかもそれらのほとんどはうつ伏せに倒れていたり、傾いていたり、半分以上埋まっていたりしていて、まるでそこはモアイの墓場のようだった。

島の北側に出ると、小さな入り江に白砂の美しいビーチがあった。椰子の木が何本も立ち並び、ちょっとしたリゾート地のようだ。だがそこにももちろんモアイがいた。他のものに比べて随分とハンサムな5体のモアイだった。

再び内陸に戻り、島のほぼ中心に位置する広い草原地帯に来ると、そこにも7体のモアイが並んでいた。アク・アキビのモアイだ。ここのモアイは明らかに独特の雰囲気を持っていた。他の全てのモアイは海岸に立ち、島の内側を向いているのだが、ここのモアイだけは海を向いているのだ。そして彼らのその哀しげな表情は、まるで遠い故郷を思っているかのようにも感じられた。

ラパヌイはとても自然の豊かな島で、海も内陸も美しい景観が楽しめる。そしてここではどこに行ってもモアイがいる。俺が撮ったどんな写真にもモアイが入っている。アルバムを見ると、まるでモアイが旅しているようだ。

写真