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キャプテンコージの世界一周旅日記

地球の果てを歩く【前編】

チリ パタゴニア 

地図砂漠の真ん中にポツリと小さな小屋が現れた。それがボリビアのイミグレーションだった。そしてその近く、やはり砂の上に踏み切りが一つあった。それが国境ゲートだ。そこを越えると、綺麗に整備されたアスファルトの道路が伸びていた。バスも綺麗でエアコン付きだ。ボリビアからチリへの大きな変化だった。

写真サンペドロ・デ・アタカマは、チリの北部、太平洋側に南北1000kmにわたって広がるアタカマ砂漠の中のオアシスにある街だった。ここアタカマ砂漠は地球上で最も乾燥した地域で、“純砂漠”とも呼ばれている。見渡す限りに裸の岩山が連なる“月の谷”など、広大な砂と岩の世界は圧倒的だ。

だが、その時俺は少し感動ボケをしていた。ペルーからボリビアにかけて、短期間に多くのモノ凄い遺跡やモノ凄い自然を見すぎていたのか、感覚がおかしくなっていた。アタカマ砂漠は確かに凄い。凄いのだが、俺の心が動かない。そういうときは、都会に行こう。都会の雑踏に揉まれ、人々の生活の中に飛び込もう。

写真そうして俺はサンチアゴに着いた。サンペドロ・デ・アタカマから丸1日のバスの旅だった。本当は途中でゆっくりしたいと思っていたビーニャ・デル・マルなどのビーチリゾートもあったのだが、今はどうしてもごちゃごちゃした都会に行きたかった。

チリの首都サンチアゴは、人口500万の超大都市だ。だが、俺が期待していたわくわく感というものがそこにはなかった。これまでの南米の国々に比べて極めて白人の割合が多いからだろうか、サンチアゴの人々はどこか上品で、街も綺麗で、南米にいるよりはヨーロッパにいるような感覚がした。何か物足りない。ここでも、俺の心は動かなかった。

そんな時、キトでの相棒、ジェラルドからメールが来た。「アルゼンチンのブエノスアイレスを出てパタゴニアに行く。コージは今どこだ?パタゴニアで一緒にトレッキングしようぜ!」そういえばキトにいたときにそんな話をしたこともあった。俺は迷わずサンチアゴを発った。

写真サンチアゴからしばらくはチリの海岸線に沿って南下し、一度東に折れてアルゼンチンとの国境を越えた後はひたすら平原が続く。ひたすらと言っても半端なひたすらではない。見渡す限り平原という状態が何時間も続き、やっと小さい街があったと思ったらまたその後何時間もひたすら平原なのだ。そうして走ることなんと47時間、再びアルゼンチンからチリへの国境を越え、ようやく南米大陸南端のマゼラン海峡を臨む街、プンタ・アレーナスに着いた。

パタゴニアは“地球の果て”とも言われるが、これだけ何もないところを長時間かけて移動してくると、本当に地球の果てに来たような気分になってくる。地図で見るととんでもなく南まで来ている。マゼラン海峡の向こう、わずか1500km先には南極大陸があるのだ!

ジェラルドが指定したホステルに行ってみると、奴はちょうど俺を迎えにバスターミナルに行ったところだと受付のお姉ちゃんが教えてくれた。歓迎のつもりだったのだろう。だが、俺のバスは予定よりも2時間も早く着いた。慌てすぎだぞ、ジェラルド!

俺達は次の日、プンタ・アレーナスからパイネ国立公園の玄関口となる街、プエルト・ナタレスへ移動した。宿でトレッキングルートを調べていると、今日パイネから帰ってきたばかりだという人が俺達のところにやってきた。「10日間山に入って雨が降らなかったのは1日だけ、トレス(パイネ国立公園の一番の見物(ミモノ)である3つの連なったタワーのような岩山)が見えたのはたったの30分だけだったよ・・・」もうパタゴニアは雨季に入っていたのだった。

写真翌日はトレッキングの準備だ。まずは4日分の食料を調達する。食料はジェラルドが十分だと言って選んだ上にさらに俺がたくさん追加した。こいつは自分の食欲をまだ分かっていないからだ。酒も大量に買い込んだ。日が落ちてテントを張った後やることと言ったら飲むしかないだろう。さらに、山の天候がどんな具合か全く読めないので、俺達は雨具と防寒具にも万全を期した。そんなこんなで俺達の荷物は相当な量になってしまった。テント用具一式など重くて大きいものはジェラルドのバックパックに詰め込む。何せこいつは190cm90kg
の大男だ。

トレッキング1日目がやってきた。早朝プエルト・ナタレスを出て、パイネ国立公園の入り口までバスで向かった。そこからは、目指す3つのトレスが遠くに見える(写真右上)。俺達がいるところは晴れていたが、山の方では暗い雲が立ち込めているようだった。俺達はこれがトレスを見る最初で最後のチャンスかもしれないと、写真を撮りまくった。

さあ、いざトレッキングのスタートだ。これから4日間、無事に歩き続けることができるだろうか。トレスの朝焼けを見ることはできるだろうか。パタゴニアの大自然に触れ、俺は何を感じるのだろうか。。。