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キャプテンコージの世界一周旅日記

悪魔の喉笛

アルゼンチン プエルト・イグアス

地図イグアスの滝の玄関口であるプエルト・イグアスは、南米屈指の観光地であるにも関わらず、素朴でおだやかな街というよりは村だった。ブエノス・アイレスから夜行バスで到着したタクマと俺は、バスターミナル近くの宿を見つけ、荷物を置いて早速イグアスの滝へと向かった。

イグアスの滝とはある一つの滝のことを言うのではなく、何キロにも渡って大小いくつもの滝が集まっている滝群のことを言い、それらはブラジル、アルゼンチン、パラグアイの3国にまたがっている。

写真俺達が行ったのはアルゼンチン側のイグアスの滝国立公園だったのだが、その中にはいくつもの滝があるためにとにかく広い。中でも最大の“悪魔の喉笛”と呼ばれる滝は随分遠くにあり、園内の列車に乗っていかなければならないほどだった。タクマは翌日の昼過ぎの飛行機でブエノスに飛び、そのまま日本まで帰らなければならないため、ここでは1日しか時間がない。俺達は悪魔の喉笛は諦め、それ以外の滝を見ようということにした。

ジャングルのような園内の遊歩道をしばらく歩くと、次第に「ンゴォォォーッ」という低い轟音が聞こえてきた。そして木々の間を抜けると、突然目の前が開けた。そこには、いくつもの滝が連なるイグアスの大パノラマが広がっていた。すぐ近くの滝には虹がかかっていた。

歩道は滝のすぐ1,2メートルほど上にまで続いていた。足元から巨大な水の塊がもの凄い勢いで遠く滝壷に落下していく。その様を上から見ていると、流れ落ちる水が強大な気流を作り、周りの全てを巻き込みながら落ちていくようで、自分の体までもがその流れに引きずり込まれてしまいそうな気分になり、恐怖さえ覚える。

写真今度は滝の下に降りた。上から落ちてくる大量の水は、水面を激しく叩きまくっている。俺達は滝壷の近くまで行くことができるというボートツアーに参加した。ライフジャケットを付け、ボートに乗り込む。徐々に滝壷に近付くにつれ、滝が水を叩く音は大きくなり、水面は大きくうねってきた。

ゆっくり近付いてきたボートは滝壷の近くまで来て停止した。これより先は進めないのだろう。水面から高く跳ね上がった水しぶきはボートにも降り注いでくる。しばらくうねりに身を任せた後、ガイドが「バモース!(行くぞー!)」と叫んだかと思うと、ボートはエンジン音を高く上げ、滝に向かって急発進をした。乗客達は絶叫だ。ポリバケツをひっくり返したような大量の水しぶきが激しく降ってくる。ああぁーーもう突入するぅぅぅーーっ!というぎりぎりのところでボートはUターンをした。巨大なうねりにボートは高く持ち上げられ、体が放り出されそうになる。元いた場所に戻り、落ち着く間もなく再び突入する。それを何度か繰り返し、ボートは滝を離れた。しばらく心臓のバクバクは治まらなかった。

そのままボートは川の本流に出た。遠くにひと際大きな滝が見えた。水しぶきはその滝を覆い尽くすほどに跳ね上がっており、その滝の周りだけがぼやけて見える。あれか。あれが悪魔の喉笛か。これまで見てきた滝も凄かったが、全く比較にならないスケールだ。やはりあれを見ずに帰るわけには行かない。その時俺達は次の朝早起きする決心をした。

写真そしてイグアス二日目の朝、起きてみると外は雨が降っていた。それでも俺達は朝一のバスに乗り、イグアスの滝国立公園に再びやってきた。園内列車に乗り悪魔の喉笛近くの終点を目指す。列車はジャングルの中を走る。次第に雨が強くなってきた。そして列車を降りたときにはもうどしゃ降りになっていた。そのうち止むだろうと思って雨宿りしていたのだが、雨は弱まるどころか激しさを増す一方だった。傘も意味がないほどの豪雨となり、開き直った俺達はその雨の中を飛び出した。

遊歩道を走っていると間もなく、激しい雨の音とはまるで違う、「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」と地響きかと思うほどの超重低音が聞こえてきた。そしてついに俺達の前に悪魔の喉笛が現れた。動くことも言葉を発することもできなかった。自然が作り出すこれほどまでの大きな力と音を目の当たりにしたことはなかった。

遠くブラジルの山脈から発したイグアス川は、約700kmの流れの後4kmもの川幅を持つに到る。それが突然切り落とされ、川の水は一気に80mもの段差を落ちていく。それがイグアスの滝群であり、中でもダントツに大きい滝が今目の前にある悪魔の喉笛だ。80メートル下の水面に落下した水の塊は、大量の水しぶきとなって再び落下口近くまで跳ね上がってくる。そして流れ落ちる水はその水しぶきと空中でぶつかり合い、下の滝壷どころか周りの水面すら見ることはできない。

写真

激しく降る雨を全く感じなくなっていた。そればかりか、自分の存在までもがなくなってしまったような気分だった。

俺達は呆然としたまま宿に帰り、タクマはすぐに荷造りを始めた。そこで改めて気が付いた。身に付けていたものが全てずぶ濡れになっていることに!タクマは濡れた服を全てビニール袋に詰め、靴は代えがなかったためにびちょびちょのスニーカーを履いたまま空港に向かった。成田から自分の家までも、全く乾かないまま履いて帰ったらしい。

俺は次の日にプエルト・イグアスを発つ予定だったのだが、丸2日も延ばしてしまった。ずっと天気が悪く、やはり靴が乾かなかったからだ。

旅情報

宿
ブエノス・アイレスのユースならAventure Innがお勧め。中心地からすぐの立地、Sarmiento通りに面した1階がスポーツ・バーのビル。1ベッド16ペソ(約5ドル)から。無料インターネット、アットホームなロビー、かわいい受付のお姉さん、各種ツアーなどのアクティビティも充実しています。マイプー通りのホテル・マイプーは、アンティークな調度品が渋い落ち着いたホテル。2人組にはお勧め。ツインで31ペソ(約10ドル)から。プエルト・イグアスではバスターミナルのインフォメーションで地図付きのホテルリストがもらえます。オフ・シーズンは連泊すれば値引きしてくれるので交渉しましょう。
交通
ブエノス・アイレスの巨大なバスターミナルには200以上のカウンターがありますが、行き先のエリア毎にカウンターはまとまっているので簡単。中央に案内図があります。どこに行くにも複数のバス会社が路線を持っているので、バスのクラス、時刻、値段を比較して決めましょう。