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パラグアイ アスンシオン
何もない国、パラグアイ。挙げてみればトリニダー遺跡など見所はあるのだが(他には知らない・・・)、とにかくこの国は“何もない”と言われる。パラグアイ人は南米の中でも“田舎者”と呼ばれている。俺はそんなパラグアイに、何故か分からないがずっと惹かれるものを感じていた。
数ヶ月前にボリビアからパラグアイを目指したときは、デジカメ事件のおかげで結局辿り着くことができなかった。長い間寒いパタゴニアを旅してきた俺は早く温かいビーチに行きたかったのだが、今を逃したらもう一生パラグアイには行くことがないかもしれない。よし、ちょっと遠回りして行ってみるか!ということでパラグアイに行くことにした。だがどこに何があるかも分からないので、とりあえず首都のアスンシオンを目指すことにした。
まずアルゼンチンのプエルト・イグアスからブラジルのフォス・ド・イグアスでバスを乗り換えてパラグアイのシウダー・デル・エステに入る。バスはブラジルとパラグアイの国境ゲートを通り抜けた。だが、全く止まる気配がない。ブラジルとパラグアイを行き来する現地の人々は、日帰りの場合は出入国審査の必要はないのだった。俺は慌ててバスを止め、歩いてパラグアイのイミグレーションまで戻ってパスポートにスタンプを押してもらった。危うく不法入国するところだった。戻ってくると、もちろんバスは俺を待っているはずがなかった。
シウダー・デル・エステはまさに国境の街といった雰囲気を持っていた。国境ゲート付近では両替商のおじさんやタクシーのおじさん達がたむろし、通りにはたくさんの屋台や露店が並んでいる。だがここでは土産物屋は全くなく、ほとんどの露店が電化製品や時計などを売っている店だった。隣のブラジルやアルゼンチンから、物価の安いパラグアイにたくさんの人達が買い物に来るためだった。
ブラジル側から来る人達はみな手ぶらなのだが、パラグアイからブラジルへ行く人達は誰もが大きなテレビや冷蔵庫などをリヤカーに乗せたり担いだりしながら運んでいる。国境となっている川に架かる橋を、そんな人達が列をなしてぞろぞろブラジル側へと渡っていた。
長距離バスターミナルに来てみると、ちょうどアスンシオン行きのバスが出るところだったので俺はそのバスに乗った。途中のバスの窓からの眺めは、草原と森と小さな村の繰り返しだけだった。何の盛り上がりもないままアスンシオンに夕方過ぎに着いた。
俺はメイン通りらしき道に面した宿を見つけ、そこに荷物を置いて早速散歩に出かけた。メイン通りを歩いて中央の広場まで行ったのだが、これと言った気を引くものもなく、広場近くの定食屋に入って晩飯を食べた。店を出たのは8時過ぎだったのだが、もう多くの店はシャッターを閉め、ほとんど人通りもなくなっていた。俺は来た道を引き返して宿に帰った。
次の日は朝から市内を観光した。ガイドブックに乗っているようなところはあっという間に見終わってしまった。やはりこれと言った盛り上がりもなかった。
その次の日俺はなんとなく動物園に行きたくなった。宿のおばさんに教えてもらったバスに乗ろうとしたら、お釣りがないからと言って乗せてもらえなかった。じゃあ歩いていってやると思って地図を見ながら歩いていたのだが、動物園はその地図の外にあり、実際にはどのくらい遠いのか分からない。動物園こっちという矢印の書いてある道の、地図の一番端っこ辺りまで歩いたところで、エンパナーダ(南米でポピュラーな惣菜パン)屋に入った。
エンパナーダを食べて小銭も出来たことだし、ここからはバスに乗ろうと思って店のお姉さんに動物園行きのバスの番号を教えてもらうと、「21番よ」と言われた。「いやいや、41番じゃないかな」と店にいた他の客が言った。「じゃあどっちか先に来た方に乗ってみるよ」と言って俺は店を出た。
しばらく待つと41番のバスがやってきた。乗ってすぐに運転手に「動物園に行くか」と聞いたら「行かない」と言われたのですぐに降りた。その場でまたしばらく待っていると21番のバスがやってきた。乗ってすぐに運転手に「動物園に行くか」と聞いたら「行かない」と言われたのでまたすぐに降りた。俺はすっかり動物園に行く気が失せてしまい、そのまま市内へと戻った。
歩き疲れていたのだが、俺は宿には戻らずメルカド4という市場に行ってみた。食料品、雑貨、衣類などの小さな店がごった返す、巨大な市場だった。この中においしい韓国料理の店があると聞いていたので探した。だがそれらしき場所に言っても見つけることはできないし、人に聞いても皆違うことを言う。またくじけそうになったが、俺はすっかり焼肉モードになっていた。こうなったら絶対に見つけるしかない。韓国食材のスーパーがあったので、これは確実だろうと思って中で働いている韓国人に「この近くにおいしい韓国料理が食べられるところはないか」と聞いてみた。「知らない」と言われたので俺は適当にそこら辺の定食屋に入った。
あれだけ楽しみにしていたパラグアイだが、どうも今はバイオリズムの調子が悪いようだ。俺は結構見切りが早い。定食屋を出た俺はそのままバスターミナルに行き、翌朝のブラジル行きチケットを買った。さらば、パラグアイ!
写真上:シウダー・デル・エステ
写真中:パラグアイ川に何故か停泊していた戦艦
写真下:メルカド4
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